連載 「海の名前」 2023年5月号


〜 時化(しけ) 〜

時化は強風などのために海上が荒れることで、動詞化して「時化る」とも使います。気象学の波浪表によると、波高が4mを超えると「時化る」といい白波がたちます。波高が6mを超え9mまでを「大しけ」、9mを超えると「猛烈にしける」と言うそうです。台風や発達した低気圧、強い季節風などによっておこり、風が強く、高波のため船の航行や漁船の操業が著しく妨げられます。類語に大荒れ、崩れる、ぐずつく、荒れ模様、荒天、悪天候、暴風、嵐などがあります。また、海だけでなく、陸上でも天気が悪い時や、興行などで客の入りが悪い時、商売が思わしくない時、また不景気なことも「時化」と表現され、不況、恐慌、夏枯れ、冬枯れ、なども同義語とされます。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真






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