連載 「海の名前」 2023年2月号


〜 水平線(sea horizon) 〜

水平線は、水面(海)と空の境界をなす線のことで、重力の方向と直角に交わる線です。しかし、地球が球体であることから平らではなく、地球の半径と同じ半径をもつ円弧で、水平ではありません。地球は丸いため、波がなくどんなに視界が良くても、水平線までの距離は観察者の水面からの高さに左右されます。観察位置が高いほど水平線は遠くになり、1メートルの高さから見た水平線までの距離は3.6kmになり、3.6km先では水平より1m下がっていることになります。しかし、観察者の目の位置が高いほど水平線は遠くなり、海岸の標高20mのホテルからでは水平線までの距離は16kmほどとなります。レーダーがなかった昔の海賊船は、昼間は襲う船との距離を開けて水平線の下に隠れたりもしました。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真






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