連載 「海の名前」 2022年9月号


〜 サンゴとサンゴ礁 〜

サンゴとサンゴ礁は別物で、サンゴは刺胞動物で、サンゴ礁はサンゴが作る石灰成分によりできた生物地形を指します。刺胞動物の「サンゴ」と言っても、分類とは別に硬さなどから、ソフトコーラル、石サンゴ、宝石サンゴなど色々あります。サンゴはイソギンチャクのようなポリプの触手が6本と8本、またはその倍数のものがあり、主に触手が6本の六方サンゴである石サンゴ類が浅い海で共生する褐虫藻に助けられながら成長してサンゴ礁を作るため、造礁サンゴとも呼ばれます。サンゴの卵はプラヌラ幼生となって浮遊して移動し、適当な住処にたどり着くと着底し、条件が良ければ成長しながら、発芽、分裂などによってどんどん増えます。死後はまたその上に卵から成長したプラヌラ幼生が着底し、どんどん大きくなっていきます。石サンゴが死んで積み重なってサンゴ礁の地形を作り、さらにその上に造礁サンゴなどが生育し、八方サンゴ類のソフトコーラルをはじめ様々な生物も住み着き、生態系を作り上げています。サンゴ礁は、石サンゴ(造礁サンゴ)に褐虫藻が体内に住み着き光合成をおこなうため、暖かく透明な水で、太陽光が届く浅い水深に発達します。一方、宝石サンゴは八方サンゴで、太陽光が届きにくい深海に生育し、硬い骨格を持ち宝飾品にされます。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


サンゴのポリープ

サンゴの分裂

サンゴ礁





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