連載 「海の名前」 2022年4月号


〜 七つの海 〜

七つの海の概念は時代や民族によって異なっていました。七という数字は古今東西、縁起が良く同時に全てを包括する数字だったようで、七不思議、七福神などさまざまに使われます。古代エジプトやフェニキアにとっての海は地中海で、世界の海の中心とされました。古代ギリシャ時代に入ると、ホーマーの地図にも現れている世界の陸地を取り巻くオケアヌス、海(大河)という考え方でした。その後アラビア人は、シンドバットの冒険のように、三角帆の大型ダウを操って遠征し、紅海、ペルシャ湾、アラビア海、ベンガル湾、そして東ははるばるアジアの南シナ海をも、西は地中海や大西洋の東岸までも領域に入れ、これらの海を七つの海と呼んだと言われます。現代の七つの海は、太平洋と大西洋を赤道で二分し、北太平洋、南太平洋、北大西洋、南大西洋、インド洋、北極海、南極海の七つです。南大西洋、南太平洋、インド洋と南極海は完全につながった海で、区切りは南緯60度以南の海域を南極海とすることが多いです。ちなみに、日本海、ベーリング海、オホーツク海、東シナ海などは北太平洋の属海、カリブ海、地中海などは北大西洋の属海、とされています。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


セントヘレナ島、南大西洋

氷山、南極海

巻波、北太平洋





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