連載 「海の名前」 2022年2月号


〜 潮吹き穴 〜

潮吹きは波の荒い海岸の岩穴から波に応じて潮を噴き上げる現象です。こうした潮吹き穴のでき方は、海食洞の天井部分にある部分が波食などで崩落して上部に小孔が開き、やがて海面が上昇して海食された上部の空気中に小孔がある圧縮洞窟ができます。海食洞に高い波が打ちつけると圧縮された海水や空気が圧縮洞窟の内部に溜まって、高圧放出で爆発し、大きな音とスプレーを伴いながら上部の小孔から海水を吹き上げるものです。ブローホール・システムには、3つの機能が必要で、集水域の海食洞入り口、上部に空間がある圧縮洞窟、潮吹き穴の排出口です。これらの3つの機能の配置、角度、およびサイズによって、潮吹き穴から排出される空気と水の比率の力が決まり、海が荒れたときには、吹き上げる潮の高さは数十メートルにもなります。また、鯨の呼吸口も潮吹き穴と呼ばれ、肺の圧力で空気と海水を一気に吹き上げます。さらに、間欠泉も潮吹き穴の一種で、さまざまな理論がありますが、地下の上部に小孔がある空洞に溜まった地下水が地熱により温められ、圧縮されて水蒸気とともに地表に噴出するものです。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


ブロウホール(潮吹穴)、ハワイ

ブロウホール(潮吹穴)、ハワイ

間欠泉、アイスランド





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