連載 「海の名前」 2021年11月号


〜 赤潮 〜

赤潮は、海水中に微少な植物性プランクトンが異常増殖し、それによって海の色が変わる現象です。水が赤く染まることが多いため「赤潮」と呼ばれますが、原因となるプランクトンの色素によって異なり、オレンジ色、赤褐色、茶褐色などいろいろです。赤潮を引き起こす生物は、細胞がオレンジ色や赤色を呈する為にこう見えるそうです。春先に水温上昇や水の流動性の低下などが合わさって発生するとされ、特に生活排水による富栄養化が問題視されています。赤潮のプランクトンによる酸素の大量消費による底層溶存酸素濃度の低下や、魚の鰓に付着して呼吸を妨げたり、一部のプランクトンが毒素を出すなどにより、アサリやカキなどの貝類、エビやカニなどに被害をもたらせ、漁業や海産物の養殖業界に大きな損害が出ています。内湾の有明海、瀬戸内海、東京湾、伊勢湾、大阪湾などでの発生が多く報告され、苦潮、濁水、腐れ潮、菜っ葉水、すすけ潮、厄水、役水、薬水、くらげ水など様々に呼ばれます。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真






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