連載 「海の名前」 2021年10月号


〜 海中洞窟・洞門 〜

岩壁などにできる空間のうち人間が入ることが可能なものを洞窟と呼び、洞口の長径が奥行きよりも小さければ洞長2m程度でも洞窟と呼びます。こうした洞窟が水中に入ったものが海中洞窟です。ほとんどの海中洞窟は空気中でできたもので、波の物理的、あるいは化学的作用により出来るノッチと呼ばれる海食洞窟、海食洞門などが、水面の位置変化により水面下に入って海中洞窟になります。また、石灰質のサンゴ礁が水面変動により陸上に出て化学作用で鍾乳洞ができ、再びの海面変動で水中に入って海中鍾乳洞ができます。海食洞は基本的に海岸の崖に衝突する物理的な波の力で横穴ができ、奥行きが深くなると天井が落下して、横穴の奥に井戸状に開口する縦穴の組み合わせにもなります。海水で満たされている洞内空間に日光が差し込むと、長い波長の成分が吸収されて濃いブルーに見えるところからブルーホールとも呼ばれます。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


海中鍾乳洞、パラオ

ブルーホール、パラオ

海中洞窟、ケープ・ヴェルデ諸島





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