連載 「海の名前」 2021年2月号


〜 呼吸する海 〜

海は呼吸しており、風浪などで白波から空気が海水に取り込まれ、酸素が生き物を支え、二酸化炭素は固定化されてサンゴ礁や海藻、生物の体などを作ります。砕け波や台風が海水を大きく攪拌し、太陽光で温められた海面温度を下げるため、台風が来ないと、海水の表面温度は上昇し、サンゴの白化現象が起こります。サンゴを形成するサンゴ虫は海水温度の変化があっても移動できず、温度が高くなると褐虫藻が逃げ出し、白くなって白化現象を起こすのです。正に、波や風が海を耕しており、川から海に流れ込む有機物や、岩の上や砂の中の有機物を巻き上げて生き物の栄養分にして、二酸化炭素の固定に役立てるのです。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


砕ける波

空から見た白化サンゴ

白化したトゲサンゴ





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