連載 「海の名前」 2020年11月号


〜 スコール・霧・靄 〜

気象現象で、こうした現象に風が伴うものもあります。また、視界が悪くなり危険が伴うものや、急に風向 が変化するものなどもあり、特に海上ではヨットマンは無風で困っている時以外は、あまり歓迎しないもの が多いです。
≪蜃気楼(ミラージュ)≫海底の蜃(大蛤)が気を吐いて現れるものと考えていたそうで、フランスのミラー ジュ戦闘機は蜃気楼のように出没する高速戦闘機です。
≪けあらし(霧)≫は北の海の沿岸部に、寒い朝よく見られる霧のことです。内陸で冷えた空気が、川に 沿って海に流れ込むことによって朝露に変化します。
≪ミスト≫は霧雨drizzleより細かい霧や靄の事で、ぼんやりとした霞です。アメリカの東海岸コネチカット州に霞むことが多いミスチック・シーポートと言う名前の港があります。
≪驟雨:しゅうう≫は急に降り出して直ぐに止んでしまう一過性の雨のことで一般には、通り雨と呼ばれます。
≪早手:疾風:陣風≫はスコールのことで、熱帯、亜熱帯で多発する気象現象で、疾風と驟雨が組み合わさったものがスコールといえます。
≪海霧≫海上で見られる全ての霧のことで、1キロ以内にある物体が見えなくなるまでに微細な水滴が空中に浮かんでいる現象を言います。
≪濃霧・霧海≫寒流や冷水域に、湿気を含んだ暖かい風が南から吹き込むと濃霧が発生しやすく、暴風より海霧による海難事故のほうが遥かに多く、船舶は非常に恐れています。水面近くにだけ発生するため、上を見ると青空ですが、横方向は50メートル先も見えないことがあるほどです。レーダーに映らないような小さな船で沖に出た時、深い霧の中で、霧笛を鳴らしますが、姿が見えない大型船は、衝突されそうで本当に恐ろしいものです。南米のエクアドル、ペルー、チリ沿岸に発生する濃霧をガルーアあるいはカマンチャカと呼ぶそうです。スコットランドの東風を伴う冷たい霧はharl、harrと呼びます。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


スコール

海霧

朝霧


朝霧

濃霧

霧雨





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