連載 「海の名前」 2020年9月号


〜 多島海 〜

「多島海」とは群島のある海、たくさんの島が点在する海の事で、狭い海域に島が密集する状態を意味し、そこに浮かぶ島々は「島嶼」、「諸島」、「群島」などと呼ばれます。島々がどのようにして出来たのか、という成因には関係しません。英語の「Archipelago」はギリシャ語に由来し、たくさんの島が浮かぶ海で、ギリシャのエーゲ海「Aegean sea」が代名詞となっています。エーゲ海は広く、全貌は宇宙からしか見られませんが、島々が密集するパラオのロック・アイランド海域や、インドネシアのプロウ・スリブ、長崎県の九十九島などが知られます。「ロック・アイランド」はサンゴ礁が隆起してできた445の島々からなる絶景です。「プロウ・スリブ」の「プロウ」はインドネシア、マレイシア語で島や島々の事を言い、「スリブ」は「千」で、「千の島々」です。「九十九島」は海面上昇によって形成されたリアス海岸で、208の島々があり、島の密度は日本一です。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真


インドネシアのプロウスリブ

パラオのロック・アイランド

長崎の九十九島





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