連載 「今月の赤ちゃん」 2023年11月号


〜 オサガメpart2 〜

オサガメ(長亀:Dermochelys coriacea)は、爬虫綱・カメ目・オサガメ科・オサガメ属に分類される1属1種の海ガメの現生種で、甲羅は他のカメのように固くなく、皮膚で覆われ、英名(leatherback=背中が皮)の由来になっています。繁殖地はインドネシア、マレーシア、コスタリカ、カリブ海、スリナム、スリランカ、マレーシア、パナマ、パプアニューギニア、南アフリカ共和国など各地にあり、他のウミガメと比較して回遊性が大きいためか繁殖地は流動的となっているようです。甲長120〜189cm最大体重916kgと現生するカメ目最大種で、背面と腹面には5本、体側面に1本ずつの筋状の盛りあがりがあり速くまっすぐに泳ぐのに役立つようです。背面や体側面の体色は黒く、腹面は白く、背甲や四肢には白い斑点が入り、腹面は白色斑の割合が大きく、ほぼ白色になります。卵は直径5〜6cmの柔らかい球形で、マレー半島やニューギニア島では5〜9月に卵を産み、55〜70日で孵化し、甲長5〜6cmで生まれる幼体は背甲や四肢が小型鱗で覆われますが、成長に伴い消失し、早ければ生後3〜4年で成熟・産卵します。前脚の鰭は特に大きく、差し渡し2.7mに達し、遊泳速度もウミガメの中では最高で時速24kmとされ、潜水能力にも優れ、最長潜水71分、最大水深1,250mまで潜水した記録があるそうです。クラゲを主に、甲殻類、棘皮動物、軟体動物、魚類、藻類なども食べ、逆に、シャチやホホジロザメの胃の内容物から本種が発見された例もあります。発生時の砂の温度によって雌雄が決定する温度依存性決定のため、雌雄がほぼ同率で産まれる温度はスリナムや仏領ギアナで29.5℃、コスタリカで29.4℃の報告例があり、適温以下だと雄、適温以上では雌の比率が高まるそうで、近年の気候変動により雌が増え、絶滅の危機にあるそうです。


産卵中のオサガメ

オサガメの産卵

子ガメ





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