連載 「今月の赤ちゃん」 2022年11月号


〜 ミナミハコフグpart2 〜

ハコフグ科(箱河豚)の魚は皮膚に骨板が発達し、多数が絡み合って全身を装甲して硬い甲羅を構成し、全体は箱状となっているため箱河豚です。肉や内臓は無毒とされていますが、溶血作用のあるパフトキシンという物質を皮膚から粘液とともに分泌し、捕食者からの防御に役立てていますが、狭い水槽内では、その毒で自分も死ぬこともあるそうです。ハコフグの仲間は英語では箱のような形から「Boxfish」と呼ばれますが、ミナミハコフグは幼魚の体型がキューブ状で可愛らしいところから「Cube trunkfish」と名付けられています。2〜4cm程度までの幼魚は丸くて黄色い体に散りばめられた黒の点々、そしておちょぼ口で、ちょろちょろと泳ぎとてもかわいらしい魚です。ハコフグとミナミハコフグの幼魚はいずれも黄色ですが、ハコフグの幼魚は黒目より体の水玉が小さく、ミナミハコフグの場合は黒目が水玉模様と同じ大きさになるので見分けがつきます。ハコフグ、ミナミハコフグ共に成魚になると地味な色合いに変わりますが、ミナミハコフグは黄褐色の体に網目模様が入り、雌の色合いは幼魚っぽいまま鮮やかさがなくなり、さらに成長すると、黒点のほかに白点が加わってきます。そして成魚の雄は背側が鮮やかな青色で、体の点が黒縁つきの白点になり、体はどんどん暗い色になっていきます。


ミナミハコフグ幼魚

ミナミハコフグ雌

ミナミハコフグ雄





海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。