連載 「今月の赤ちゃん」 2020年10月号


〜 ベニヒレイトヒキベラ 〜

八丈島、高知県以南の西部太平洋から東インドにかけて生息するベラ科・イトヒキベラ属の全長12 cm程に成長する魚です。この仲間のベラは雌先成熟で、孵化後は全ての個体が雌で、成長した一部の雌が、雄へと性転換する魚です。成魚は水深25〜50mのやや深いサンゴ礁域や岩礁域の岩や小石の、ゴロタの斜面で繁殖集団を形成します。成魚の体色は白、赤、黄色から成り、多くの雌の集団の中の何匹かが雄で、色彩がやや派手で、ヒレが赤く綺麗なため、名前に「ベニヒレ」と付きます。 幼魚は浅い場所でも見られ、体色は淡いパステルカラーのようなピンクで、吻から背ビレが黄色く、尾柄部に黒い小斑があります。若い雌ではからだが薄い肌色となり、さらに成長すると背ビレ後方先端と、尾ビレ後端が鮮やかな赤色に染まって奇麗です。グループ内で大型の個体が雄に性転換し、腹ビレが長く伸びる事が名前の「イトヒキ」の由来です。


ベニヒレイトヒキベラの幼魚

ベニヒレイトヒキベラの雌

ベニヒレイトヒキベラ成魚





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