連載 「今月の赤ちゃん」 2020年1月号


〜 ヒメウミガメ 〜

ヒメウミガメは別名オリーブヒメウミガメとも呼ばれ、インド洋、大西洋、太平洋など世界の熱帯海域の沿岸に生息し、主に甲殻類、軟体動物などを食べています。雌の甲長50-70cm、体重33-45kgほどで、雄よりも雌が大型になり、体色は灰黄褐色です。明け方から昼間、時に数日間集団で上陸して産卵する「アリバダ」(スペイン語の"arribar“到着する)現象で知られます。数千から百万頭以上ものヒメウミガメが一斉に上陸し、産卵するため、浜を覆いつくし、他の雌ガメが産卵した卵を掘り返してしまうことも多いです。「アリバダ」が行われる理由は定かではありませんが、一斉産卵で一度に大量の子ガメを孵化させ、子ガメの生存率を高めるためではないか?とされています。子ガメの色はやや黒く、体や甲羅は柔らかいため、孵化して砂から這い出るとクロコンドルやカモメ、グンカンドリといった海鳥や砂浜のカニ、大型魚、などに多くが捕食されてしまい、生き残り成体となる個体は1%以下とされています。


海に向かう子供

砂から出てくる子供

アリバダの産卵





海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。