連載 「今月の赤ちゃん」 2019年5月号


〜 キツネアマダイ 〜

スズキ目・キツネアマダイ科の魚で、相模湾以南、琉球列島や、ハワイ、紅海、南アフリカ、インド・西太平洋など世界中の温暖な海に幅広く分布します。水深50mまでのサンゴ礁・岩礁付近の砂礫底に穴を掘り、隠れ住み、底生性の無脊椎動物や動物プランクトンを主に捕食します。穴の構造は非常に複雑で、サンゴの破片や貝殻を入り口に積み上げ、塚状の構造物を形成するため、他の魚類や無脊椎動物にも利用され、変化の乏しい砂泥底の生物の多様性に貢献しているそうです。左右に平たく側扁した、いわゆる鯛型の体型をもつ体長35cm程の魚で、体は青っぽく、体側に太く黒い縦縞があります。幼魚は白と黒の色彩で、一見ソメワケベラにも見え、科名Malacanthidaeは、ギリシア語で「mala(多くの)」と「akantha(トゲ)」を意味し、仔魚が頭部と鱗に多数のトゲをもつことに由来しています。

<関連書籍>
「魚の名前」(東京書籍刊)写真、文:中村庸夫


キツネアマダイの幼魚

キツネアマダイの若魚

キツネアマダイの成魚





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