連載 「今月の赤ちゃん」 2018年9月号


〜 スミツキトノサマダイ 〜

駿河湾以南の西部太平洋域からインド洋の水深20m以浅のサンゴ礁域に生息する、全長10cm程になる小型のチョウチョウウオ科の魚です。尾柄に大きな黒色斑があり、これが「スミツキ」の名前の由来になり、「タイ」がついていますが、魚の王者とも言われる鯛にあやかったものです。チョウチョウウオ科の魚らしく体型は楕円形で平たく側扁し、体色は鮮やかな黄色で、体側中央付近にブルーの楕円形の斑があるのが大きな特徴で、英名はBlue-spot Butterflyfishとなっています。頭部には眼を通るブルーに縁取りされた太い黒帯があります。しかし、極まれにブルーの斑や縁取りが無い個体も出現します。食性はサンゴのポリプで、ミドリイシの仲間の枝状サンゴやテーブル状サンゴなどを好みます。幼魚・若魚は成魚に比べて水色の斑が薄く、体高に比して背びれが長く、尾柄部の黒色斑は白く縁取られています。幼魚時代はあまり移動せず、サンゴの枝の間に隠れるように生息しています。

<関連書籍>
「魚の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真
「チョウチョウウオの地球」(エムピージェー)文:荒又宏、写真:中村庸夫
「チョウチョウウオ・ガイドブック」(阪急コミュニケーションズ)中村庸夫:著・写真


スミツキトノサマダイ幼魚

スミツキトノサマダイ成魚

ブルーの無いタイプの若魚





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