連載 「今月の赤ちゃん」 2018年3月号


〜 グルニオン(陸上に卵を産む魚) 〜

南カリフォルニアからメキシコのバハカリフォルニアにかけてだけに生息する魚で、3月〜8月の夜の満潮時に波に乗って砂浜に打ち上がり、砂中に産卵する珍しい習性の魚です。グルニオンが波に乗って海岸に上がるのは、潮位が最も高くなる新月と満月の夜の後の3夜ほどです。雌がまず砂浜に打ちあがり、体を前後に揺らしながら尾びれを砂の中にもぐらせ、最大で約3000個の卵を産みます。それに合わせて雄が上陸し雌に巻き付くようにして精子を放出し、卵を受精させます。 そして、卵は次の大潮までは安全な陸上の砂の中に置かれ、次の大潮で海水を被るとその刺激で卵が孵化して、稚魚が海に泳ぎ出すのです。近年は、産卵に来るグルニオンを獲る人が増え、開発によって産卵場所が減り、見られる機会が少なくなっているそうです。


孵化した幼魚

産卵・受精中





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