連載 「今月の赤ちゃん」 2017年9月号


〜 ホテイウオ 〜

ホテイウオ:「布袋魚」。カサゴ目・ダンゴウオ科の魚で、神奈川県と、若狭湾以北、オホーツク海やカナダなどの水温の低い太平洋岸に棲息する25cmほどの魚で、通常は水深100m以深の岩場に棲息します。3歳ほどになると春の産卵期に浅場に移動し、岩穴に卵塊を産み付け、雌は去り、雄がふ化するまで卵を保護する習性があります。体は鱗が無くて軟らかく、球形で、大小のしわがあり、頭は上から押しつぶされたように平らで、遊泳は不得手な魚で、腹鰭が変化した吸盤で岩などに付き波にさらわれないようにします。 ポッテリした体に、愛嬌のある顔から七福神の布袋(ほてい)様に似るため「布袋魚(ホテイウオ)」です。主産地の北海道では「あちこちつかえながらふらふらするさま」を「ゴッコ」と呼び、泳ぎが下手なこの魚を「ゴッコ」と呼ぶともされます。また、仏具の魚鼓(ぎょこ)の形が似ていることから「ゴッコ」と転じたとの説もあります。吸盤で岩に吸い付くから「イワスエ」と呼ぶ地方もあります。アイヌ語では「アカンコルベ(吸盤を持つもの)」と呼ばれたそうです。

関連書籍
「魚の名前」(東京書籍刊)中村庸夫・写真、著



海藻の上のホテイウオ幼魚

ホテイウオの成魚

口を開けたホテイウオ老成魚





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