連載 「今月の赤ちゃん」 2017年8月号


〜 バラハタ 〜

和歌山県以南の太平洋からインド洋にかけての岩礁やサンゴ礁に棲息し、全長60cm以上に達するスズキ目・ハタ科の魚です。浅いサンゴ礁から水深200mほどまでの、海底から離れて遊泳することも多いです。他のハタ科の魚同様に肉食性で、エビ、カニ、シャコなどの甲殻類や魚類を捕食しています。毒を持つプランクトンに始まる生物濃縮により、シガトキシンを体内に蓄えることがあり、シガテラ中毒の危険があるため通常は食用にしません。成魚の体色は鮮やかな朱色で、全身に赤色の小さな斑点があるため「薔薇羽太」です。背鰭、臀鰭、尾鰭、胸鰭の後端が黄色で、各ひれの後端と尾びれの上下の端が長く伸びる特徴があり、他のハタ類と区別できます。色彩のバラエティーがあり、体側の地色が朱色や褐色の個体もいます。幼魚は白、緑、ピンクなどさまざまな色をしていてベラ類に似ますが、目から尾びれの上まで太い黒色の帯があることが共通します。成長するにしたがって黒い帯が消え、全身が赤や褐色の薔薇のように変化します。


バラハタの幼魚

バラハタの若魚

バラハタの老成魚





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