連載 「今月の赤ちゃん」 2017年2月号


〜 ヨコシマクロダイ 〜

伊豆半島以南、インド・西太平洋に幅広く分布し、サンゴ礁周囲の海底近くに生息します。高級魚のタイにあやかった名前ですが、クロダイの仲間でも、タイの仲間でもなく、フエフキダイ科の魚です。頭部のやや下に突き出た口があり、口笛を吹くようだから「笛吹鯛」との事。成魚は60cm程に成長し、体全体が銀灰色ですが、幼魚は白地に黒色の横帯があり、尾鰭が黄色くなります。これは毒を持つシマキンチャクフグへのベイツ型擬態、とも考えられています。10cm程になるまでははっきりした白黒の帯と鮮やかな黄色が目立ちますが、成長につれて薄れていきます。泳いでいる時、幼魚は縦縞に見えますが、口に針が掛かって糸を持って頭を上にして吊り下げると横縞に見えることから「ヨコシマクロダイ」と、人間の身勝手な命名です。


ヨコシマクロダイの幼魚

ヨコシマクロダイの若魚

ヨコシマクロダイの成魚





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