連載 「今月の赤ちゃん」 2015年9月号


〜 クラウンアネモネフィッシュ 〜

パプア・ニューギニア北部や、ソロモン諸島、メラネシアからグレートバリアリーフにかけて分布します。カクレクマノミと非常によく似ていますが、一般的には鰭や白いバンドの縁取りの黒がやや太く濃くコントラストがはっきり見え、中央のバンドは頭部側に膨らみがあります。しかし中には縁取りの少ない個体もおり、区別は難しいです。ラグーン内や浅いサンゴ礁の水深15m程度にかけて棲み、同じイソギンチャクを利用するクマノミより浅い所で見られます。最大全長11cmと、カクレクマノミと共にクマノミ類中最小種です。同じイソギンチャクに棲む集団の中で、一番大きい雄の個体が雌に性転換し卵を産みます。クマノミはイソギンチャクという限られた生活の場をあまり離れずに暮らし、配偶者を探しに行けないため、繁殖のため性転換を行うと考えられています。英名のclown anemonefishは派手な色彩を身に纏い、体をくねらせながら不器用に泳ぐのが滑稽な感じなので「道化師(clown)」の意で、学名Amphiprion perculaの種小名perculaも同じような理由で「奇妙な(或いは奇形の)魚」の意味です。幼魚の頃はバンドが1本しかありません。


バンドがまだ1本しかない幼魚

大きいのが性転換した雌

イソギンチャクのそばに産み付けられた卵の世話をする雄





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