連載 「今月の赤ちゃん」 2015年1月号


〜 ギマ 〜

相模湾以南の西部太平洋やインド洋の水深60m以浅に棲息し、日本では知多半島や三河湾で多く見られる、体長30cm程のフグ目ギマ科の魚です。鱗が細かく輝き、尾柄が細く独特な体型を持ち、原始的なフグ目魚類とされ、腹鰭と背中に計3本の太い頑丈な棘があり、底生の甲殻類やゴカイ類を食べます。中国名は「三刺魚屯(魚へんに屯)」で、漢方薬にも使われています。名前の「擬麻(ギマ)」は麻のようなザラザラした手触りの布にちなむとされますが、「銀の馬面(ウマヅラ)」の「銀馬(ギンマ)」からの転訛という説もあります。地方名では「ツノハギ」や「ツノハゲ」、「ハリハゲ」などがあります。英名はshort-nosed tripodfish(鼻の短い三脚の魚)で、学名のTriacanthus biaculeatusの種小名のbiaculeatusは腹鰭の「2つの棘」を表します。成魚は銀灰色ですが、幼魚の頃はメタリックな褐色の模様で、汽水域やアマモ場にも棲息しており、藻場の岩や海草に紛れて暮らしています。


ギマの幼魚

ギマの成魚

腹鰭と背中の大きく強靭な棘





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