連載 「今月の赤ちゃん」 2014年12月号


〜 ミヤケテグリ 〜

伊豆半島以南、奄美、沖縄、パラオ、バリなど広範囲に分布し、岩陰やサンゴの下に隠れて棲息する、スズキ目ネズッポ科で体長7cmほどの美しい魚です。雄はテリトリーを持ち、他の雄が接近すると互いに背鰭を大きく広げ、旗振り行動を行い、その後素早く激しい攻撃を行います。1983年に三宅島で発見され、発見地から「三宅(ミヤケ)テグリ」とされたものです。「手繰(テグリ)」は、この魚が海底を這うように手繰(たぐ)って移動する事にちなむそうです。発見は三宅島でしたが、その後各地のダイバーが見つけ、西部太平洋の幅広い海域に棲息する事が分かってきました。学名のNeosynchiropus moyeri(Synchiropus moyeri)の種小名のmoyeriは、三宅島に在住した魚類学者のジャック・モイヤー氏にちなんでいます。成魚が鮮やかな赤色に白色斑があるのに対し、幼魚期は体長1cm頃まで白色の体色で、大きくなるにつれ赤色斑が見られるようになります。


ミヤケテグリの幼魚

背鰭を大きく広げたミヤケテグリの成魚

背鰭を閉じたミヤケテグリの成魚





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