連載 「今月の赤ちゃん」 2014年8月号


〜 シマタレクチベラ 〜

伊豆半島以南、琉球列島、小笠原諸島や西部太平洋、インド洋のサンゴ礁や浅い岩礁域の20m以浅に棲息する、体長80cmに及ぶスズキ目、ベラ科の魚です。 サンゴ礁の砂底でゴカイ類や甲殻類などを食べ、口から砂ごと吸い込み、餌を濾し分けてから砂だけを吐き出します。体側には4〜5本の幅の広い黒色横帯があり、唇が太く分厚くなっています。名前は体の模様の「縞(シマ)」と、口の形から「垂口(タレクチ)」、「ベラ」はこの科の魚には体が細長いものが多いため、「箆(ヘラ)」から転訛したものではないか、と考えられています。中国でも縞と口の特徴から「条紋厚唇魚」や「横帯厚唇魚」で、英名もbanded thicklipやbarred thicklip(ともに「縞のある厚い唇」)です。幼魚の体色は緑色で、黒と白の細い横縞があります。


シマタレクチベラの幼魚

シマタレクチベラの成魚

名前の「垂口(タレクチ)」の通り太く分厚い垂れた唇





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