連載 「今月の赤ちゃん」 2014年6月号


〜 クログチニザ 〜

暖海域のサンゴ礁や岩礁に棲む体長25cmほどになる、草食魚の「ニザダイの仲間」で、名前の由来は「青二才のタイ」との説があります。幼魚は各鰭が大きく、尾鰭が丸みをおび、体色は黄色、または前半が灰色、後方が暗色で、キンチャクダイ科のアブラヤッコ属に擬態しているとされ、コガネヤッコやヘラルドコガネヤッコ、特にナメラヤッコに似ています。キンチャクダイ科の魚が鰓蓋に大きな棘を持ち、大型魚に嫌われ、襲われにくいとされ、それを利用する一種の擬態と考えられています。また、アブラヤッコ属の魚は臆病で逃げ足が速く、すぐに岩陰などに隠れてしまうため、それに似ることにより、捕食魚にあきらめさせる効果があるのではないか?とする考えもあります。また、ニザダイの仲間は草食で、同じ藻類を餌にし、強い縄張り意識を持つスズメダイの仲間に追い払われないため、カイメンなど動物食のアブラヤッコ属のふりをしている、との考えもありますが、どれも確証はありません。モンツキハギの幼魚も黄色の体色を持ち似ますが、モンツキハギでは背鰭棘数が異なり区別可能です。


クログチニザの成魚

クログチニザの幼魚

ナメラヤッコ





海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。