連載 「今月の赤ちゃん」 2014年3月号


〜 テングハギ 〜

南日本から太平洋、インド洋にかけての亜熱帯・熱帯水域の岩礁やサンゴ礁域の水深180m以浅に棲息する、体長70cmほどになる魚です。成長するにしたがって、藻類食から動物プランクトン食に変わり、群れをなして中層を遊泳するようになります。尾柄の側面の左右に2対の骨質板を持ち、成魚の尾鰭が発達して上・下端が糸状に伸びます。幼魚時代はありませんが、成長するにつれて前頭部に角のような突起を持つようになります。名前は頭の先の天狗の鼻のような突起に由来して「天狗(テング)」で、「剥(ハギ)」は、この科の魚は硬い皮ごと剥ぎとって料理をするためにつけられたものです。英名は成魚の尾柄の鋭い骨質板が青色のため、bluespine unicornfish(青い棘の一角魚)で、学名Naso unicornisの種小名unicornisも「一本の角」で、伝説の一角獣にちなみます。中国や台湾でも、「単角鼻魚」、「長吻鼻魚」です。


テングハギの幼魚

テングハギの成魚

テングハギの角





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