連載 「今月の赤ちゃん」 2014年2月号


〜 ブリ 〜

琉球列島を除く日本各地や朝鮮半島近海の水深100m以浅に棲息する、体長1.5mほどになる魚です。紡錘形で体側中央に黄色い縞がある回遊性の魚で、東シナ海の水深200mほどの大陸棚縁辺部が主産卵場で、生まれた稚魚は「モジャコ」と呼ばれ、流れ藻の下について、黒潮と対馬海流に乗って北上します。成長すると流れ藻を離れて沿岸の内湾や内海で過ごし、3歳になると成熟し、豊富な餌を求めて、夏には北海道近海まで北上し、秋には南下して産卵場に戻ります。名前は、脂の多い魚であることから、「アブラ(脂)」の上略「ブラ」が転訛して「ブリ」となったそうです。「鰤(ブリ)の字は、師走の寒ブリが旬で、脂が乗って特に美味しいことから、「魚」と「師」を組み合わせたという説や、大魚を表す「魚」と「師」を組み合わせた説などがあります。関東では「モジャコ」、「ワカシ」、「イナダ」、「ワラサ」、「ブリ」、と成長につれて名前が変わり、関西では「モジャコ」、「ワカナ」、「ツバス」、「ハマチ」、「メジロ」、「ブリ」と成長段階によって名が変わる、縁起の良い出世魚とされています。ちなみに、関西では2、3歳のブリを「ハマチ」、関東では養殖のブリを「ハマチ」と呼びます。


モジャコ

イナダ

ブリ





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