連載 「今月の赤ちゃん」 2013年10月号


〜 ミナミゾウアザラシ 〜

主に南極大陸に近い亜南極圏だけに棲息するところから英語でSouthen Elephant Seal 、日本ではミナミゾウアザラシと呼ばれます。雄は体長6.5m、体重4tに達し、アザラシの仲間で最も大きくなる種ですが、雌はかなり小さく、最大体長3m、体重1tと差が大きく、陸上で繁殖する哺乳類の中で雌雄の身体の差が最も大きな生物です。9〜10月は繁殖固体が陸上で過ごし、1〜4月には換毛のため上陸し、他の時期はずっと海に出て暮らします。主な繁殖地は南緯50〜60度周辺に浮かぶ南極海の孤島で、中でもサウスジョージア島や、オーストラリアと南極大陸の間にあるマッコリー島、アルゼンチンのバルデス半島、インド洋の南のハード島やケルゲレン諸島などとなっています。19世紀には狩猟により絶滅の危機に瀕しまたが、最近は保護の結果回復して、全体で約60万頭とされています。ハーレムを形成する一夫多妻制で、強い雄は一回の繁殖期に40頭もの雌を妊娠させることができるそうです。また、深海で餌を捕ることで知られ、2,000mまで潜水した記録や、 2時間の潜水記があり、昼夜平均300〜600m、20〜22分の潜水を連続的に行いながらイカやサメを含む大きな魚を食べています。


アルゼンチンのバルデス半島にあるオタリアの繁殖地にやって来た子供 ハード島の海岸で休む若い個体 サウスジョージア島の巨大な雄

アルゼンチンのバルデス半島にあるオタリアの繁殖地にやって来た子供

ハード島の海岸で休む若い個体

サウスジョージア島の巨大な雄





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