連載 「今月の赤ちゃん」 2011年6月号


〜 コブシメ 〜

「コブシメ」はコウイカ目・コウイカ科の仲間で、外套長50cm、体重12kgにも達する、我が国近海では最大の種です。春先に繁殖場となる浅いサンゴ礁に集まり、雄同士は興奮して体の模様を様々に変化させながら、腕を斜め下に伸ばして威嚇し、時にダイバーに対しても威嚇のポーズをとります。卵は先端がやや尖った球形の、乳白色で、直径1.5〜2cmほどもあり、交尾の後、雌はサンゴの枝の間などに一つずつ丁寧に産み付けます。卵は自然孵化し、赤ちゃんも既に擬態能力を備え、砂やサンゴの真似をします。標準和名は「コブシメ」ですが、産地の沖縄では「クブシミ」と呼んでいますが、現代風の発音で「コブシメ」に変わった、とされます。古くからコブシメの甲はカルシウム分としてかじる物だったようで、「クブ」=かじる、「シ」=それ、「ミ」=着ている、の意味で「かじる物(甲羅)を着ている」との意味から「クブシミ」だそうです。


コブシメの卵 コブシメの幼体 コブシメの成体

コブシメの卵

コブシメの幼体

コブシメの成体





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