連載 「今月の赤ちゃん」 2010年10月号


〜 ヒラメ 〜

カレイ目・ヒラメ科・ヒラメ属の魚で、太平洋北西部から南シナ海にかけて分布し、最大で全長1m、体重10kgほどになります。沿岸の砂地を好み、砂泥中に体を隠して目だけを出しているか、体色を海底の岩などと同じ色にして潜み、通りかかる魚を鋭い歯で捕らえます。左右に扁平な体型である事に由来して、「鮃、平目(ヒラメ)」で、俗に「左ヒラメに右カレイ」と言われ、両目とも頭部の左側半分に偏って付いているのがヒラメで、頭部の右側に両目を持つものがカレイです。体の右側を海底に、両目のある左側を上に向けて生活しています。カレイ類に比べると口が大きく、歯が大きく鋭いため、英名はLarge-tooth flounders「大きな歯のカレイ」です。3〜7月に浮遊卵を産み、孵化した稚魚は通常の魚と同じように目が両側にあり、普通に背中を上にして泳ぎます。やがて全長1cm位になると右目がオデコを超えて移動し、2.5cm位になると目の移動が終わり、ほぼ親と同じ形になります。これらは、遺伝子が脳、心臓、腸管の左側に発現し、各器官の細胞増殖のスピードや細胞増殖の方向が左右にずれて、左右非対称な体に変化するそうです。


孵化後15日の稚魚

孵化後30日の稚魚

ヒラメの成魚





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