連載　「今月の赤ちゃん」　2010年01月号

メジロザメ目・トラザメ科のサメで、北海道以南の日本から東南アジアの西部太平洋に分布し、海岸近くから水深100m までの岩場などに生息します。 体長50cm程で、茶褐色で、黒褐色の斑紋や、小さな白色の斑点が多数あります。底生性で、日中は岩の間などに身を潜め、夜になるとヤドカリやカニなどの餌を求めて活動するおとなしいサメです。和名の「トラザメ」は体色と模様にちなみ、学名もScyliorhinus torazameで、「トラザメ」です。英名の「Cloudy catshark」は、斑紋が雲状である事と、目がネコのようにスリット状な事に由来します。トラザメなどの仲間は「人魚の財布」とも呼ばれる5cm程の半透明な竪琴状の卵を産み、卵の一端にあるつるで、海藻などに絡み付けます。胎仔は卵黄の栄養分吸収しながら約1年かけて成長し、5〜10cmの大きさで孵化します。

卵殻の中の胎仔

卵から孵化する幼魚

トラザメの成魚と幼魚（手前）

海の写真のボルボックス　　© 中村庸夫　無断転載を禁止します。