連載 「今月の赤ちゃん」 2008年11月号


〜 ゼニガタアザラシ 〜

日本の陸地で繁殖する唯一のアザラシで、太平洋と大西洋に広く分布し、棲息海域とDNAの違いによって5亜種に分けられ、個体数は全世界で40〜50万頭、日本には約600頭が棲息し、氷を嫌い、流氷のない岩場で定住生活し、多数上陸する繁殖地は襟裳岬と大黒島です。
雄のほうがやや大きく、体長2m、体重170kgほどで、体色や模様は一頭ずつ異なり、黒、濃い灰色、濃い茶色や褐色に黒いリング状の模様や、斑点が入る暗色型と、薄い灰色や薄い茶色に斑点が入る明色型があり、我が国では多くが暗色型です。50円硬貨のように、周りが縁取られて真ん中に白い穴が開く斑紋を持ち、昔はこのようなお金を「銭(ぜに)」と呼んだため、銭型(ぜにがた)との名前が付けられたものです。英語ではCommon seal(コモン・シール)「普通のアザラシ」や、港などでも見られるところから Harbor seal(ハーバーシール)「港のアザラシ」、日本の亜種は千島列島に多い事からKuril Harbor Seal(クリル・ハーバーシール)「千島ハーバーシール」と呼ばれます。
ゼニガタアザラシの子供は岩場で産まれるため、白い産毛は母親の胎内で抜けてしまい、大人と同じ濃い銭型模様で産まれ、岩にまみれて敵に狙われにくいそうです。


ゼニガタアザラシの赤ちゃん ゼニガタアザラシの子供 襟裳岬のゼニガタアザラシ

ゼニガタアザラシの赤ちゃん

ゼニガタアザラシの子供

襟裳岬のゼニガタアザラシ





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