2023年12月のテーマ写真館




 《 オウサマペンギン 》


19世紀までは最大のペンギンとして知られ、名も"King"(王)が冠されました。しかし、19世紀に南極大陸に探査の手が伸び、もっと大きなコウテイペンギンが発見され、名前に"Emperor"(皇帝)が当てられました。英名のままキングペンギンの名も用いられ、コウテイペンギンに次いで大型で、体長は85〜95cm、体重は10〜16kg程で、コウテイペンギンに似ますがやや小型で、頭部から喉にかけてのオレンジ色が強く、体に対するくちばしやフリッパーの比率も大きいです。一番大きな違いは雛の産毛で、コウテイペンギンが黒と灰色の模様で可愛いのに対し、オウサマペンギンは褐色だけで、全く可愛げがありません。巣は作らず、産卵のピークは12月半ば〜1月頃で、足の上で抱卵嚢と呼ばれる腹部のだぶついた皮をかぶせて温め約54日で孵化します。そして、雛を育てる途中で越冬するため雛の成長が遅れ、繁殖期間が1年以上に及びます。繁殖は2年に1度、多くても3年に2度で、雛が褐色の羽毛を換羽して巣立つのは、10月末から1月頃となります。繁殖地はコウテイペンギンが南極大陸であるのに対し、南極大陸周辺の南大西洋とインド洋の、南緯45度から55度にかけてに位置する島々などです。

クロゼ諸島

サウス・ジョージア島

サウス・ジョージア島


マッコリー島

ミナミゾウアザラシと、クロゼ諸島

かかと立ち、クロゼ諸島


クロゼ諸島

餌をねだる雛、クロゼ諸島

雛が集まったクレイシ、クロゼ諸島


サウス・ジョージア島

換羽中の雛、クロゼ諸島

ナンキョクオットセイと、サウス・ジョージア島


交尾、クロゼ諸島

クロゼ諸島

卵を抱く、マッコリー島


シー・スピリットと、サウス・ジョージア島

マッコリー島

水中を泳ぐ


 ◆ 海の一言 :『シーライオン(Sea Lion)』


アシカは英語で「Sea Lion」と呼ばれます。どうして海の生物にアフリカの動物の名前が付いたのか?と言うと、ヨーロッパ人がアフリカに行きLionと出会い、その後に会ったアシカと似ていたからです。「大航海時代」が始まり、世界中に大型帆船で探検に出て1492年にマゼランが世界一周の際に、アメリカ大陸沿いに大西洋を南下の途中、パタゴニアで初めてオタリア=アシカと出会い、たてがみのある風貌から「海のライオン」=Sea Lionと名付けたのです。ライオンは、英語「Lion」からの外来語で、フランス語の「Lion」、ラテン語の「leo」に由来し、ギリシャ語の「leon」まで遡ることができそうです。日本にはニホンアシカがおり、「海驢」、「葦鹿」と記されているように、葦原の海岸に上陸して休み、角が無い雌シカに似るところから「葦原の鹿」で、アシカ「葦鹿」と呼ばれていたそうです。一方、ライオンは「獅子」と呼ばれていたため「Sea Lion」は和名に用いられませんでした。

オーストラリアアシカ

若いオーストラリアアシカ

オタリア




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