2022年9月のテーマ写真館




 《 シャーク湾(Shark Bay) 》


西オーストラリアのインド洋に面したシャーク湾は、パースから北に850kmほどに位置し、面積は2,200平方kmと、東京湾の2倍もの広さがあります。1991年にユネスコの世界自然遺産に登録され、理由は「地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本で、地学的進行過程、重要な地形的特性があり、重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であること」などによるものです。南からの海流により長く伸びた砂州に囲まれ、湾内はほぼ水深2mと浅く、穏やかな湾です。湾周辺の陸地は荒涼とした乾燥地帯が広がり、人間が住みにくかったことが、自然が残された理由となっています。湾の内部の浜は数十キロ程、厚さ5m程度に渡り二枚貝のコックル種の殻で埋め尽くされ、化石化して固まった部分を切り出して建築材料などにも利用されています。また、湾内のハメリン・プールには32億年程前にはすでに存在していたと言われるストロマトライトと呼ばれ、灼熱の地球に酸素をもたらせた、地球上で最も古い生命体の一つが現存しています。最低気温も15℃ほどで、夏は20℃以上あるため、ジュゴン、ジンベエザメ、ウミガメ、イルカ、オニイトマキエイなどや、インド洋と南極海を往復するザトウクジラも立ち寄る湾のためシャーク湾と名付けられました。全体が「シャーク・ベイ海洋公園」の中にあり、シェル・ビーチ保護公園、ハメリン・プール海洋自然保護区などがあり、モンキー・マイア保護公園の海岸にはバンドウイルカが人間と遊びに来るビーチがあります。

ストロマトライト

コシグロペリカン

遊びに来たイルカ


ストロマトライト

コシグロペリカンとイルカ

遊びに来たイルカ


ストロマトライト

遊びに来たイルカ

ジュゴン


シェルビーチの貝

シェルビーチの貝

ジュゴン


道路の舗装にも使われる

化石化した貝

化石化した貝の家


 ◆ 海の一言 :『貝類』


生物学的には石灰質の外骨格(貝殻)をもつ二枚貝や巻貝を一般的に貝類、と呼びます。しかし、系統ゲノミクスの手法によって軟体動物門を調べた結果、いわゆる貝類がイカ、タコなどの頭足類と共通の祖先を持つことを示し、1つの分類群「貝殻亜門」を形成することが明らかになったのです。「貝殻亜門」には、ハマグリやアサリなどの「二枚貝」と、サザエのような「巻き貝」、そして殻がないイカやタコ(体の中に甲があり殻が退化した「頭足類」(オウムガイ類もこの仲間)、背中に小さな殻が8枚ある「ヒザラガイ類」や笠のような巻かない殻1枚を持つ「カサガイ類」、そして角のような殻を持つ「ツノガイ類」などがいます。これらの祖先は1つと考えられていて、イモムシのような形で殻はなく、小さな針(石灰質)をたくさん生やして、身を守っていたそうです。その針が互いにくっついて、殻になり、現在の姿になったと考えられています。

コウイカ

ツノガイの仲間

ヒザラガイ




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