2021年11月のテーマ写真館




 《 塩 》


塩(salt)は、海水の乾燥や岩塩などから生産され、調味料、保存料、殺菌などさまざまに使用されます。ほとんどの生物は適量のナトリウムがないと生きられず、塩は狩猟時代には動物の血肉に含まれる塩分や海水などからの製塩や岩塩により採取も行っていたのです。古代ギリシャでは塩(salt)が兵士への支払いに使われsalaryの語源となったほどです。近年は様々な工業用にも使われ、イオン交換膜製塩法が主流となりましたが、パンやチーズ、レトルト食品など自然食ブームに合わせ、様々なミネラルが含まれる自然塩に人気があり、入浜式塩田で作られます。また、小規模ながら揚浜式塩田や流下式塩田、塩分を含んだ海藻や植物を焼いた灰から塩分を採取する灰塩などからも作られています。相撲では取組み前に塩で土俵を清めるとともに怪我に対して塩による殺菌効果も期待します。また、祭壇や玄関などに供えたり、葬儀後に塩を使って身を清める、嫌な客が帰った後に清める、盛り塩をして悪霊ばらいも行います。ロシアでは着陸した宇宙飛行士などにも振舞われたり、宇宙ステーションに到着した宇宙飛行士にも塩タブレットなどが振舞われるそうです。このように各地、各時代において様々に用いられているのが塩なのです。

各種塩

ボネアーのソルトピラミッド、カリブ海

高度好塩菌で赤くなった塩田、イビザ島、地中海


塩に浮く、死海、アラビア半島

製塩所、ナミビア、アフリカ

マルタの岩に掘られた塩田、地中海


製塩所、ナミビア、アフリカ

ボネアー、カリブ海

カディズ、スペイン


死海、アラビア半島

死海、アラビア半島

製塩所、ナミビア、アフリカ


アベイロ、ポルトガル

ナミビア、アフリカ

ラパス、バハカリフォルニア、メキシコ


ケープ・ヴェルデ諸島、アフリカ

マルタ、地中海

カディズ、スペイン


ラパス、バハカリフォルニア、メキシコ

ナミビア、アフリカ

アベイロ、ポルトガル


 ◆ 海の一言 :『氷雪藻・アイスアルジェ(ice algae)』


氷雪藻(ひょうせつそう)は、高山帯や極圏の夏季に雪や氷上・浮氷下などに生育する低温耐性の藻類のことです。極地の氷山・浮氷下に生育する藍藻や珪藻の類は、Sea ice algaeと呼ばれ、研究チームが両極などで採取した氷雪藻の遺伝子を解析したところ、多くの種が北極と南極のどちらかだけに分布し、北極圏では氷河など特定の地域のみで見つかる藻類が目立ったそうです。一方、ごく一部は南北両極で発見され、遠く離れて分散・交流している可能性があることが判明したそうです。春になって日射量、気温、栄養塩が上昇すると、細胞から鞭毛を持つ緑色の遊泳細胞に変化し、適切な光環境を求めて移動します。細胞が良好な環境に着底して鞭毛を失います。こうして増殖・分散すると植物プランクトンとして様々な生物に捕食され、極地の生物相の根幹として多くの生物を支えているのです。捕食者は極地ではオキアミが圧倒的に多く、繊毛虫、ワムシ、線虫、コオリミミズ、トビムシの仲間などで、それをペンギンや魚が食べ、アザラシやクジラまでの生態系が出来上がっているのです。

アイス・アルジェ

アイス・アルジェ

ナンキョクオキアミ




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