2021年9月のテーマ写真館




 《 世界のチョウチョウウオ(大西洋編) 》


世界中の海の熱帯から亜熱帯、温帯にいる120種程のチョウチョウウオのうち、今回は大西洋だけに生息する種類を紹介します。大西洋西岸のカリブ海、中央部の島々、東岸のアフリカ沿岸では、珍しい種類が多く、バラエティー豊かな色彩や模様などが楽しめます。

サウスアフリカンバタフライフィッシュ

バンデッドバタフライフィッシュ

カリビアンロングスナウトバタフライフィッシュ


スポットフィンバタフライフィッシュ

ダブルバンドバタフライフィッシュ

フォーアイバタフライフィッシュ


リーフバタフライフィッシュ

セントヘレナバタフライフィッシュ

ブラックバーンズバタフライフィッシュ


ロブストバタフライフィッシュ

ヘッジホッグバタフライフィッシュ

マルセラバタフライフィッシュ


 ◆ 海の一言 :『クジラ髭』


「髭クジラ」の上顎部に見られる、繊維が板状となった髭板がいわゆる「クジラ髭」で、皮膚が変化した爪のような素材で、細かな餌生物を大量にとらえられます。上顎に下向きに列をなす細長い三角形の板状の器官で、最大で300枚程度が生え、長辺のうち一方に多数の毛が生えたようになり、互いに重なり合い、餌をこしとる、あるいはふるい分けるフィルターとして使用します。餌生物が異なるのにあわせて、クジラ髭の形状も異なっており、カイアシ類のようなプランクトンを食べることが多いセミクジラ類は、2メートルを超える最も長いクジラ髭を持ちます。これに対して、オキアミや小魚を食べるナガスクジラ科のザトウクジラなどでは、クジラ髭はあまり長くなく、繊維はやや太いです。サンマやイワシなどの魚まで食べるニタリクジラやミンククジラなどは繊維が太く丈夫です。獲物の群れに向かって突進し大量の海水ごと口腔内に含み、海水だけをクジラ髭の隙間から吐き出し、獲物をクジラ髭で口中に残して食べます。ナマコやカニなど砂中の底生動物を捕食するコククジラは、海底の砂泥を餌ごと吸い込み、クジラ髭でふるいにかけ、残った餌生物を食べます。弾力性に優れ、鯨油や肉以外に捕鯨の重要な目的にもなっており、プラスチックなどが普及する以前は、釣竿の先端、ぜんまい、文楽人形の頭を動かすためのバネ、西洋では傘の骨、鞭、コルセット、ヴァイオリンの弓など様々に用いられていました。

ザトウクジラ

ザトウクジラの髭板

コククジラ




海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。