2021年6月のテーマ写真館




 《 氷山part2 》


氷山は棚氷または氷河から海に流れ出した大きな氷の塊で、氷山の90%は水面下にあり、水上に出ている部分から水中の形状を推測するのは困難です。オランダ語の Ijsbergがもとで、英語でもIcebergです。南氷洋では、南極大陸から押し出された棚氷により形成されるため、巨大なものが多く、北大西洋では氷河が海に流れ込んでできた、とがった山型の形状のものが多いです。氷山は、およそ2〜3000年前に雪として降り、万年雪となって堆積し、やがて重さと圧力で移動し、最後に海に落ちて氷山として浮かぶことになります。20世紀以降、棚氷や氷河の崩落などによる氷山の誕生が増加傾向にあり、地球温暖化の影響ではないか、と考えられています。






 ◆ 海の一言 :『アルビノと白変種』


「アルビノ」はヒトを含む動物、植物などメラニン色素を作る遺伝情報を持たず、メラニンが欠損する遺伝子疾患がある生き物のことで、体色が白くなります。メラニン色素は動物の皮ふ、毛髪、瞳孔など皮ふ表面に多く含まれ、組織内に広く含まれる褐色や、黒色の色素もあります。メラニン色素は、太陽から注がれる有害な紫外線をカットする役割があります。アルビノの眼が赤く見えるのは、目の瞳孔の色素が無いので奥の血管の中の血の色が見えているのです。アルビノは希少性から高価で取引される種もありますが、紫外線による皮膚の損傷や皮膚がんのリスクが非常に高いうえ、天敵などから発見されやすく自然界での生存は極めてまれ、とされています。これに対し、「白変種」は色素が少ないだけで、毛や皮膚などが白っぽくても鼻周りや目などは黒いままで、メラニンの合成は正常に行われています。以前、白変種は突然変異だと考えられていましたが、ホワイトタイガー、キツネ、ウサギ、ヘビ、トカゲ、クジャク、ネズミ、猫、ウーパールーパーなどさまざまな脊椎動物に見られますが、遺伝的には正常であると考えられています。このように「アルビノ」と「白変種」は似てはいますが、別物です。Albinoはスペイン語やポルトガル語を経由したラテン語 "albus/alba"で意味は「白」で、語幹 albに in + oをつけた言葉だそうです。

ナンキョクオットセイ(アルビノ)

アデリーペンギン(白変種)

カリフォルニアアシカ(白変種)




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