2019年11月のテーマ写真館 |
《 毒のある魚 》 |
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魚の毒を大きく分けると刺毒、粘液毒、食中毒に分けられます。多くは、食物連鎖で毒性のある細菌、プランクトンやイソギンチャクなどの持つ毒を体内に蓄積させ、食中毒を起こすものです。フグ毒、シガテラ毒やパリトキシン毒などは、食べると大変な食中毒を起こしたり、死に至らしめるもので、フグの仲間やバラハタ、ソウシハギ、アオブダイ、バラフエダイなどへの蓄積が案外多いです。また、餌から取り込んだ毒を身を守るために活用するゴンズイ、ミノカサゴ、オニカサゴ、オコゼ、アイゴなどの仲間は尖った鰭の棘から毒を出し、アカエイなどのように毒を出す専用の棘を持つものもおり、うっかり触ったり、踏みつけて刺されると大変なことになります。餌から取り入れ、皮膚から毒のある嫌な臭いの粘液を出し、捕食から逃れる魚もいます。泳ぐのが下手、苦手で保護色や擬態で隠れる魚が身を守るために利用するばかりか、目立つ色模様で「毒があるから危険だぞ、俺に手を出すな」と警告する魚もいるのです。 |
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イッテンフエダイ |
ミノカサゴ |
ゴンズイ |
トラフグ |
オニカサゴ |
オニカマス |
ハオコゼ |
オニダルマオコゼ |
キタマクラ |
ソウシハギ |
アカエイ |
アオブダイ |
イッテンフエダイ |
ハコフグ |
アイゴ |
◆ 海の一言 :『フグの毒』 |
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フグ毒は、フグが毒を体内で作るのではなく、毒を生産する細菌やプランクトンの有毒渦鞭毛藻などが、食物連鎖によって貝類やヒトデなどを通して濃縮され、フグの餌になってフグの体内に蓄積される説が有力です。こうした事から、同じ種のフグでも、生息する海域、季節により餌が異なると毒の強さも変わるそうで、毒性のない餌で養殖したフグには毒が無い、と言われる所以です。フグ毒の主成分はテトロトキシンという青酸カリの約1000倍の強さで、自然界の毒では最強の部類に入るもので、熱に強く水にも溶けにくく、加熱や水にさらしても毒性は変わりません。その他、毒性のあるサキシトキシンや、種類によってパフトキシンを蓄積します。種類によって毒を蓄える部位が異なり、肝臓や卵巣などの内臓や血液、皮膚、筋肉の全部または一部に毒性を持ちます。フグは、フグ調理師免許を持つベテランが調理したもの以外、口にしない方が無難です。
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トラフグ |
シマキンチャクフグ |
キタマクラ |
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