2019年8月のテーマ写真館




 《 砂漠のオアシス・紅海 》


北部はシナイ半島により、アカバ湾とスエズ湾に分かれ、スエズ湾からスエズ運河を経て地中海とつながり、南部はバブ・エル・マンデブ海峡を経てアデン湾、そしてインド洋とつながっています。紅海は地球のプレートの裂け目に海水が溜まった場所で、アフリカ大陸とアラビア半島が始新世に裂けて分離してできた地溝帯に、インド洋から海水が流れ込んでできた細長い海で、長さ2250km、最大幅355km、面積438,000平方km、平均水深491m、最深部は2,211mと深く、現在も拡大を続けています。アフリカ大陸側をスーダンやエジプト、ユーラシア大陸側をイスラエル、ヨルダン、サウジアラビア、イエメンなどに囲まれています。古来よりアラビア語で「赤い海」と呼ばれてきましたが、「紅海」名の由来は諸説あります。昔、方角を色分けして考え、北の黒海に対し、南を表す赤から赤い海とした説。また、エジプトの砂漠を赤い大地と呼ぶため、その大地の海にちなんで紅海、との説。また、紅藻が異常繁殖した際、死滅後、海面を赤褐色に変化させることがあるため、との説などです。 砂漠に囲まれ、海水の表面温度は夏には34°Cに達し、海流も存在せず、海水の蒸発が激しいため、塩分濃度は世界で最も高い海です。しかし、熱を吸収する藻類の働きにより、サンゴの白化はほとんど見られず、200種ものサンゴが生息し、砂漠の海岸にサンゴ礁が発達し、生物が豊かな海のオアシスとなっています。乾燥地域のため、流入河川もほとんどないため透明度が良く、固有の生物も多いためヨーロッパのダイバーに大人気です。

<関連書籍>
「海の名前」(東京書籍刊)写真、文:中村庸夫
「七つの海の物語」(データハウス刊)写真、文:中村庸夫

ゴールデンバタフライフィッシュ

ゼブラエンジェルフィッシュ雄

レッドバックバタフライフィッシュ


ロービングコーラルグルーパー

ハナダイの群れ

アカシュモクザメ


セダカヤッコ

アケボノチョウチョウウオ

エクスクイジットバタフライフィッシュ(コウカイミスジ)


トゲチョウチョウウオ

イエローテールサージョンフィッシュ

レッドシーバナーフィッシュ


イソモンガラ

海底に沈んだアンフォラ

レッドシーラクーンバタフライフィッシュ


サンゴ礁に座礁した船

シナイ半島

ベドウィンの貝の家


 ◆ 海の一言 :『カムチャツカ半島』


カムチャツカは、ユーラシア大陸の北東部にある面積472,300平方km、長さ1,250kmの大きな半島で、気候は亜寒帯気候からツンドラ気候です。南端から北海道にかけて太平洋とオホーツク海を分ける千島列島が点在し、アラスカとカムチャツカ半島が東西でベーリング海を抱く形になっています。ロシア人が進出して来る以前は、チュクチ人、コリャーク人、アイヌ人などが住んでいましたが、先住民族の言葉にはカムチャツカの語源は無く、古代ロシア語の絹織物の名がカムチャツカの地名になったとされ、この説以外に有力な語源が見つからないそうです。南端部に千島アイヌが古来より定着し、漂着した和人も居住し、江戸時代は安東氏や松前藩の領有地として認識され、勘察加(かむさすか)と呼んでいたそうです。アバチャ湾にある州都のペトロパブロフスク・カムチャツキーを初め主要港は東岸に集中し、冷戦期にはアメリカ合衆国に最も近いソ連領の軍事地帯として、1990年まで外国人の入域は禁止されていました。中央山脈と東山脈が並行して南北に走り、環太平洋造山帯の一部を成す。ここ300年で50回もの大爆発をしている半島最高峰のクリュチェフスカヤ山(4,835m)など、多くの火山を抱え、富士山型の山がたくさん聳えています。




海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。