2019年1月のテーマ写真館




 《 魚はなぜ群れるのか? 》


弱肉強食の世界に生きる生物たちは、それぞれ生き抜く術を獲得してきました。中でも小さな魚の場合、多くの個体が集まって「群れ」を作ることが重要な生存戦略の一つとなっています。種によって群れを作る理由は異なりますが、群れ全体で大きく見せて身を守る、数万匹で逃げ惑い天敵の混乱を誘う、など群れを作ることで、少しでも食べられるリスクを減らしています。肉食動物は、群れから離れた個体を狙う傾向があり、1匹で泳いで天敵に見つかれば、すぐに食べられてしまいます。数千、数万という数で大群を形成していれば、個々が狙われる確率は低くなり、生き延びるのに役立ちます。ある一匹が敵を見つけて行動すると、群れ全体が敵に気づき、被害を最小限にする事もあります。群れで密集して固まっていると、肉食動物が近づきにくい、というメリットもあります。外縁部より中の方が食われる危険性が減るため、群れの中に密度が薄い場所があると入り込もうとするため、分散していても自然に密集した群れが形成されるわけです。群れることは弱い魚が身を守るための自然の摂理なのです。

チョウハン

タカサゴの仲間

ヨスジフエダイ


洞窟の中の魚群

キンメモドキ

マアジを襲うロウニンアジ


ムレハタタテダイ

オオカマス

アヤコショウダイ


ゴンズイ玉

ホソカマス

アカヒメジ


ホソカマス

キンメモドキ

ギンガメアジ


ツバメウオ

ミズン

ムスジコショウダイ


 ◆ 海の一言 :『魚(いお)(うお)(さかな)』


「さかな」を意味する「魚」という漢字は、口を上にしてぶら下げた時の姿からくる象形文字です。現代は魚類の総称で、「魚」は[音]では(ギョ)、[訓]は、(うお)、(さかな)で、古くは「いお」とも言ったそうです。江戸時代は鯨も大きな魚、と解釈され「勇魚(いさな)」と呼ばれました。また、酒を飲むときに添えて食べる物、「酒(さか)菜(な)」(肴)に魚肉を多くつまみにしたところから「さかな」が魚類をさすようになり、「さかな」には「肉や魚」の意と「酒を飲むときのおかず」の意とがあるようです。ウオ(ヲ)は奈良時代から使われ、イオ(ヲ)のたしかな例は平安時代からですが、イオがウオに取って代わったのではなく、散文に(イオ)、和歌に(ウオ)という使い分けがあったそうです。

<関連書籍>
「魚の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真
「七つの海の物語」(データハウス刊)中村庸夫:著・写真

マサバとマアジ

マダイ

クロダイ




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