2018年10月のテーマ写真館




 《 貝の変わり者 》


「貝」と言うと、サザエのような巻貝や、アサリのような二枚貝を思い浮かべます。しかし、貝の仲間には、ヒザラガイのように8枚の板のような殻を付けた仲間や、傘を背負ったようなカサガイの仲間、そして細長い中空の角のような殻の中に入ったツノガイ、巻貝なのに丸い殻にスリットが入ったタカラガイ、ミノガイのように二枚の貝殻をバタバタさせて泳ぐ貝、ヒトデの体内に寄生して生活する巻貝のアカヒトデヤドリニナ、岩に付いてとぐろを巻くオオヘビガイなど変わり者がたくさんいます。ちなみに、アワビは平らですが巻貝です。「貝」と同じ軟体動物には、アオイガイやオウムガイのように殻の中に入って泳ぐタコに近い種類までもいます。

カイダコこと、アオイガイ

ホシダカラ

アカヒトデヤドリニナ


カサガイの仲間のトラフザラガイ

パラオオウムガイ

キイロダカラ


タルダカラ

オオヘビガイ

タカラガイの仲間のカフスボタン


二枚貝のミドリシャミセンガイ

ユキミノガイ

タカラガイの仲間のウミウサギガイ


ヒザラガイ

ツノガイの仲間

ヨメガカサ


キクノハナガイ

ウノアシ

ニシキヒザラガイ


 ◆ 海の一言 :『貝』


軟体動物のうち、石灰質の殻を持ち、その中に軟体部を入れる種類を一般的に貝と呼びます。大きく二枚貝と巻貝があり、その両方に「貝」の語源があるようです。二枚貝の合わさる、いわゆる蝶番のところを「合い」、と呼び、「交い(あい)」と表現され、次第に「かい」となったと言う説です。そして漢字表記の「貝」は象形文字で、「子安貝(こやすがい)」の切れ目になっている部分の象形から「貝」という漢字が生まれた、と言う説です。「子安貝」はタカラガイ科の巻貝の俗称で、模様が美しいハチジョウダカラをさすことが多かったそうです。殻は卵形で光沢があり厚くて丈夫で堅く、その切れ目の形が女性器を想わせる形のため、女性・豊饒の象徴、「安産のお守り」として、「子安貝」と呼ばれたそうです。タカラガイの仲間は古くから世界的に珍重されて宝石類と同様に装飾に使われたり、たくさん集める事が富の象徴とされ、中国やアフリカでは貨幣としても用いられてきました。そのため我が国では「タカラガイ」とも呼ばれ、貨・財・贈・購・寳など財産に関わる漢字の部首に貝が用いられています。

ハチジョウダカラ

ハチジョウダカラ

アサリの蝶つがい




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