2018年9月のテーマ写真館




 《 蛸(タコ) 》


海だけに棲む軟体動物で、古代ギリシア語での「8本足」を意味する呼び名から、ラテン語、英語で「Oct(8)opusオクトパス」になりました。頭に見える丸く大きな部位は胴で、その下の頭から「足」と呼ばれる触腕が生え、眼や口器が集まります。頭から足(触腕)が生えているため、同じ構造のイカとともに「頭足類」と呼ばれます。高い知能を持ち、最も賢い無脊椎動物であるとされ、形の認識、問題を学習し解決することができ、ねじぶた式のガラス瓶に入った餌を視覚で認識し、瓶の蓋をねじって餌を取ります。保護色で変色し、地形に合わせて体形を変え、さまざまな擬態を行い、危険を感じると煙幕として墨を吐いて姿をくらませる、まさに「海の忍者」です。タコの天敵として知られるのがウツボで、サメやタイの仲間もタコを好んで食べます。一方、タコはカニ、エビ、シャコなど甲殻類や二枚貝を好んで捕食します。 ほぼ全てのタコは餌の生物を噛んで殺すため、人間には無害な毒を持ちますが、ヒョウモンダコだけが猛毒を持ち、人間が噛まれると命を落とすことがあります。日本は世界一のタコの消費国で、国産だけでは不足し、消費されるタコの約7割がアフリカ産です。

煙幕の墨を吐くワモンダコ

泳いで移動するワモンダコ

最大のタコ、ミズダコ


猛毒を持つヒョウモンダコ

腕の長いテナガダコ

ワモンダコの漏斗(呼吸口)


深海に棲むメンダコ

貝に隠れるスナダコ

マダコの交接


卵を守るマダコ

産卵直後のマダコの卵

孵化直後のマダコ


イシガニの仲間を捕らえたマダコ

ウツボに襲われたワモンダコ

マダコの目


岩に隠れるワモンダコ

カレイの真似をするミミックオクトパス

ウミヘビの真似をするミミックオクトパス


 ◆ 海の一言 :『チョウチョウウオ』


チョウチョウウオ科の魚は世界の海に120種類以上が生息し、体高が高く、丸に近い薄い体型で、白、黄、オレンジなど鮮やかな色彩をもつものが多く人気です。日本では地方により、ウチワダイ、オドリコ、カガミウオ、キンチャクウオ・・・など、さまざまな呼び名がありましたが、標準和名が用いられるようになった際に、英語で「バタフライ・フィッシュ=蝶々魚」、と呼ばれていた事や、海中を泳ぐ様が「お花畑をひらひらと飛ぶ蝶々」の姿にも見えるため「チョウチョウウオ」とされたものです。チョウチョウウオ科の魚の多くの種類は熱帯〜亜熱帯のサンゴ礁に生息しますが、チリや南アフリカなど温帯の海藻の間を泳ぐ種類や、水深100m以上に生息する種類もいます。

<関連書籍>
「魚の名前」(東京書籍刊)中村庸夫:著・写真
「チョウチョウウオの地球」(エムピージェー)文:荒又宏、写真:中村庸夫
「チョウチョウウオ・ガイドブック」(阪急コミュニケーションズ)中村庸夫:著・写真

深い海に棲むティンカーズバタフライフィッシュ

南アフリカのブラックバーンズバタフライフィッシュ

日本の普通種のチョウチョウウオ




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