2018年2月のテーマ写真館




 《 築地市場 》


中央区築地にある公設の卸売市場で、その規模は国内最大(広さでは大田市場のほうが広いが、取引金額が最大)です。 面積約23ヘクタールの広大な卸売市場で、取り扱う品目は水産物、野菜、果物、鶏肉、鶏卵、漬物、加工品等で年間扱数量は、全品目合計で約百万トン、金額にして約五千億円以上とされます。江戸時代から、食品流通を担ってきた日本橋魚河岸を始めとする市場群が、1923年(大正12年)の関東大震災で壊滅したのを受け開かれた市場です。隅田川や汐留駅など水・陸運に恵まれていた旧外国人居留地(築地居留地)の海軍省所有地(海軍大学校、造兵廠、水路部などの施設があった)を借り受けて、臨時の東京市設魚市場を開設したのが、築地市場の始まりです。場内には仲卸業者が水産物部で596業者、青果部で101業者が店舗を構えており、2018年10月の豊洲市場の開場と共に築地市場は解体され、中央卸売市場の機能を新市場へ引継ぐ計画になっています。場内の卸売市場は無くなりますが、外国人観光客でごった返し、食のテーマパーク化している場外・小売市場はそのまま残ります。

関連書籍
「食材魚貝大百科」(平凡社刊)
「食材魚貝大百科 別巻1 マグロのすべて」(平凡社刊)
【中村庸夫:写真】

卸売市場の全景

場内で活躍するターレット

場内市場


生マグロの解体

マグロ生競り場

競り落とされた生マグロ


冷凍マグロ競り

冷凍マグロの肉質見本

冷凍マグロの解体


赤身から大トロまで

キダイ

シマアジ


クルマエビ

アカアマダイ

ケンサキイカ


マツバガニ

茹でタコ

イシダイ


ホッコクアカエビ

イトヨリダイ

ブリ


 ◆ 海の一言 :『築地と東銀座』


築地は文字通り「築いた土地」で大川(隅田川)河口の埋め立て地で、江戸時代に対岸の佃島の住人によって造成されたものです。埋め立て地は明暦の江戸の大火で焼失した西本願寺の建て替え地となり、寺院や墓地が建立され、周辺は武家屋敷が数多く立ち並んでいたそうです。その後、外国人居留区が設けられ、最初のアメリカンスクールの校舎が建てられ、江戸時代末期には軍事力増強のため軍艦操練所が設置されました。明治維新により大名屋敷や講武所などは明治政府に接収され、太平洋戦争後、日本海軍が解散されるまで、多くが海軍用地として使用されていました。東京の台所だった日本橋河岸が関東大震災で壊滅したため、臨時の市場、として始まったのが築地市場です。住居表示の築地1丁目〜7丁目うち、23hrの広大な築地市場があるのは築地五丁目で、駐車場の一部だけ築地六丁目にあります。市場の周辺は住居表示では築地ながら、多くのビルなどは「東銀座・・」として、銀座に近い高級なイメージを出そうとしています。

関連書籍
「魚市場で朝ごはんを」(マガジンハウス刊)
【中村庸夫:写真、著】

埋立の際に風波を鎮魂した波除稲荷神社

築地四丁目の場外市場




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