2018年1月のテーマ写真館




 《 カイコウラ (ニュージーランド) 》


ニュージーランド南島の太平洋岸、クライストチャーチのやや北に位置するカイコウラは先住マオリ族の部族が巨鳥モアを追いかけ入植し、1770年にジェームズ・クックがカイコウラ半島を発見して以降、ヨーロッパからの移民入植も開始された港町、漁村です。カイコウラの沖合は、海洋生物の宝庫として知られ、深いヒカランギ海溝の海底谷が岸近くまで迫り、谷に沿って湧昇流が起こり、暖流と寒流がぶつかる潮目にプランクトンが湧き、イカ、リングコッドなどが大発生します。そのため、岸近くで深海性のマッコウクジラが見られ、ハラジロカマイルカが岸辺に定住し、希少なセッパリイルカが見られ、多くのニュージーランドオットセイが定住しています。ホエールウオッチングが盛んで、イルカとのドルフィンスイム、オットセイとのスイムなどエコツアーが大人気で、世界中のナチュラリスト達を魅了しています。ボルボックスも5回の取材を行っています。

関連書籍
「クジラ・ウォッチング」(平凡社刊)
「イルカ・ウォッチング」(平凡社刊)
「鯨ウォッチング&タッチング」(講談社刊)
【中村庸夫:写真、著】

ハラジロカマイルカ

ハラジロカマイルカ

セッパリイルカ


マッコウクジラ

マッコウクジラ

ニュージーランドオットセイ


ニュージーランドオットセイ

ケルプの海岸

ヒトデ


アジサシとカモメ

マミジロウ

カモメ


ハラジロカマイルカ

看板

イルカウォッチングの会社


 ◆ 海の一言 :『スワード』


アンカレッジの南側、クック湾の対岸のキーナイ半島に位置する港町で、エイブラハム・リンカーンの下で国務長官を務めたウィリアム・スワードがロシアからアラスカを買い取ったため、その名にちなむ町です。当時、アラスカはロシアの植民地で「ロシア領アメリカ」に18世紀末から狩猟や交易のため北米大陸太平洋岸一帯に進出しており、一部はカリフォルニア州にまで達していました。しかしロシアは1853年からのクリミア戦争で、大打撃を被って経済的に疲弊しアラスカを売却することにしたのです。当時は「巨大な冷蔵庫を買った馬鹿な国務長官」と比喩されましたが、その後アラスカでゴールドラッシュが起こり、更に石油が発見され、一躍アメリカンドリームを支える英雄となり、彼の名が地名に記されたものです。1867年、1,518,800km2のアラスカを720万ドルでロシアから購入し、約4000m2当たり約2セントにしかなりませんでした。今日アラスカ州ではスワードを称え3月の最後の月曜日を「スワードの日」としてアラスカ購入を祝っています。

スワード港

トド

オヒョウ




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