2017年5月のテーマ写真館




 《 アオウミガメ 》


世界中の熱帯、亜熱帯を中心に暖かい海域を回遊するウミガメで、甲長80-100cm体重70-230kgほどに成長し、寿命80年程度とされます。日本では屋久島が産卵地の北限とされ、奄美諸島、小笠原諸島、沖縄諸島などで多く産卵しています。繁殖年齢は20-25才ほどで性成熟し、日本では5-8月にかけて、基本的に自分が生まれた砂浜に戻って1シーズンに4回くらい、1回に100個程度の卵を深さ70cmほどの穴を掘って産み付けます。卵は太陽の熱で45-70日で孵化し、子ガメたちが陸上に出ようともがくと下に砂が崩れ落ち、地表近くに行きます。夕方陽が沈んで砂の中の温度が下がると地表に這い上がり、他の陸上動物や海鳥、大きなカニなどに襲われないため、急いで海を目指していきます。海面の反射など陸地よりやや明るい海の方向に向かって水中に入りますが、水中でも大きな魚や海鳥に襲われます。しばらくは流れ藻などに隠れて水面を漂いながら暮らし、やがて潜ってカニやクラゲ、海綿、海草などの餌をとるようになります。主にサンゴ礁の沿岸で暮らしながら成長しますが、ボートのスクリューに巻かれる、漁網に掛かって溺れる、海流に流され冷たい水温で死ぬ、餌が十分に採れない、また、南方の一部の地域では食用にされるなど、大人になれるのは数千分の1程度、といわれます。海域によっては昼間に海岸に上陸して甲羅干しをしますが、多くは孵化して海に入ると、およそ2-10数年間海の中で暮らし続け、産卵期になると自分が生まれた砂浜の沖にやって来て、雄と雌が出会って交尾し、陽が落ちて暗くなると産卵上陸するのです。

サンゴに体を固定して休む

前脚でかいて泳ぐ

呼吸のため水面に向かう


上陸して甲羅干し

若いカメがサンゴ礁で休む

水面で呼吸する


交尾中

上陸すると目にの保護のため涙を流す

産卵中


産卵を終えて穴に砂をかける

産卵を終える頃、日が昇ってきた

産卵を終えて海へと戻る


砂から這い出てくる

急いで海に向かう

産卵地沖を泳ぐ


 ◆ 海の一言 :『レビヤヒヘド(レビジャヒヘド)諸島』


バハ・カリフォルニアの南南西に点在し、1533年にスペイン人に発見された諸島で、サンタ・ロサと呼ばれました。クラリオン島、ソッコロ、サン・ベネディクトなどの島々と小さな岩礁などから成ります。その後、1793年に英国のエドワード・カルネットが再発見しましたが、直後に海賊に捕まってしまい、それを助けてくれたスペイン植民地の総督レヴィア・ヒヘロという人にちなみ、アーキペラーゴ・レヴィア・ヒヘロとして英国の海図に記されたのです。2016年に世界自然遺産に登録されました。

関連書籍
「島の名前」(東京書籍刊)中村庸夫・著、写真

火山噴出物の軽石が雨に浸食されシワのようにも見える島の岩肌

サン・ベネディクトの北海岸に直立する巨岩

ロカ・パルティーダの海上の白い岩




海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。