2017年3月のテーマ写真館




 《 モス・ランディング 》


サンフランシスコの南200kmほどに三日月形のモントレー湾があります。モントレー湾は海洋生物の宝庫として世界的に知られ、ラッコ、ハーバーシール(ゼニガタアザラシ)、カリフォルニアアシカが生息し、さまざまな種類のイルカや、シロナガスクジラ、ザトウクジラ、コククジラやシャチも回遊してきます。モントレー湾の中央付近から沖に向かって海底に世界最大の海底の峡谷、モントレー峡谷が形成されており、その深さや規模はグランド・キャニオンに匹敵する、とされます。その深い海底谷から上昇する栄養豊かな湧昇流によってプランクトンが大発生する「世界で最も豊かな海」の一つ、とされ、そのすぐ前に位置するのがモス・ランディングです。砂丘が続くなだらかな海岸線に川が流れ込み、河口に砂州が形成され、豊富な餌を求めて海洋動物たちが集まる格好の生息地・休息地になっているのです。

港の砂州で休むハーバーシール

砂州で休むハーバーシールとシーカヤック

若いカリフォルニアアシカ


ラッコとカリフォルニアアシカ

ラッコとハーバーシール

戯れるラッコ


ボートに乗ってきたカッショクペリカン

砂州で休むラッコ

ピアーを占領したカリフォルニアアシカ


浅瀬で休むハーバーシール

貝を食べるラッコ

驚いて砂州から海に入るハーバーシール


ラッコのラフト

水鳥を捕らえたラッコ

群れるラッコ


 ◆ 海の一言 :『太平洋』


昔からこの大きな海に浮かぶたくさんの島々や、取り囲む大陸にはたくさんの民族が暮らしていました。しかし、世界の海の半分を占めるその大きさや位置関係、対岸に何があるのか?などは誰にも分かりませんでした。そのため、この海の全体を表す呼び名も無かったのです。この巨大な海の存在を初めて知ったのが1520年に世界一周を行った、スペインのマゼランです。南米の南端を通り抜け、南米大陸の向こう側に巨大な海がある事を知り、西へと向かって横断したのです。マゼランが110日間の横断中、好天に恵まれ、一度も嵐に遭遇しなかった事から、航海日誌に「穏やかな海」、「平和な海」、などを意味する「マール・パシフィコ」と記したのです。それが英語でPacific ocean=「太平な大きな海」の名で世界的に用いられるようになり、わが国でも明治の後半以降「太平洋」、と記されるようになったといわれます。それまでは大洋、東洋、大東海、大東洋、東洋大海、太平海、メガラ海(マゼランが訛ったもの)南海などと各時代各地でばらばらに呼ばれていました。

関連書籍
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫・著

大航海時代の帆船

日本丸

マゼラン海峡の氷河




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