2016年9月のテーマ写真館




 《 海に咲く花・ウミショウブ 》


2億年以上前は陸上に生える植物でしたが、恐竜時代に繁茂した大きなシダ植物に太陽光が遮られないように避けて、浅い海中で生息するようになった顕花植物です。ショウブを思わせる葉からウミショウブで、インド洋から太平洋の熱帯に分布し、日本では西表島、石垣島などで見られます。春から夏の大潮の干潮時に雌花がちょうど水面に届く程度の水深で開花し、花びらを広げて、雄花が流れてくるのを待ちます。同時期に雄花は海底近くで白い花をつけ、切り離されて水面に浮かび出て、花弁が反り返るように開き、高さ3mm程度の雪だるま、あるいはポップコーンのような形になって、風や潮に流され、水面上に開く雌花にひっかかり、受粉を完了する珍しい植物です。

海面に浮く雄花

海面に浮く雄花

海面に浮く雄花


水中の雄花のつぼみ

海面に浮く雄花

雄花と雌花の受粉


雌花が雄花を抱え込んで水中に沈む

潮が上げて海面を漂う雄花

打ち上げられた雄花


受粉後にコイル状になった茎

3mmほどの大きさの雄花

花粉は0.1mmほどの大きさ


 ◆ 海の一言 :『トリヤマ(鳥山)』


水面近くにいる小魚の群れを狙って海鳥が集まっている様子を言います。大型の回遊魚が小魚を水面に追い立て、逃げ惑う魚群の上を多くの海鳥が飛び回っている状況を「鳥山が立つ」と言います。カツオの一本釣りの漁船や、マグロを狙う釣り師は、まずはミズナギドリ、カツオドリ、アジサシなど海鳥が群れている「トリヤマ」を探します。カツオなどが小魚を狙って追い立て、その下にはカツオを狙うさらに大きなマグロがいることが多く、世界中で古くから漁業における非常に有効な目印として活用されています。

オオミズナギドリのトリヤマ(鳥山)

オオミズナギドリのトリヤマ(鳥山)

オオミズナギドリ




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