2016年1月のテーマ写真館




 《 赤い魚 》


2016年の幕開けとして、正月らしくおめでたい色として、鯛など赤い魚を集めました。どうして朱色や赤色が縁起がよい色としてお祝いなどに使われるのでしょう?朱・赤は古代より、「炎の源=太陽の色」と捉えられ、魔除け・厄除けの力があり、幸福を呼ぶ「喜色」と信じられ、日本人が最も大切にしてきた色で、神社や権力者に独占的に使用されていました。昔は朱色の染料や塗料が高価で、貴重だったことにも起因しているようです。明治になって朱・赤の一般使用が許されるや、めでたい色として全国に広まったのです。色の貴重さ、色そのものが与える心理的な効果、魔除けの効能など、さまざまな要因が合わさって「赤=めでたい色」という認識になったようです。魚においては、筋肉が白でも、体表面が赤色系の場合、市場用語で「赤物」といい、昔からめでたい魚として珍重しています。中でもマダイはおめでたい魚の横綱として扱われます。魚の赤い色の元は藻類に含まれるカロテノイドやアスタキサンチンなどの物質で、食物連鎖でオキアミやサクラエビなどに蓄えられ、それらを食べる生物を色付けています。魚の色は、うろこの表面や中にある「色素胞」という細胞に、色のもとになる小さな粒「色素」が含まれていて、赤い色素を多く含んでいる魚はより赤く見えるのです。

アザハタ

エビスダイ

サクラダイ


シキシマハナダイ

アカマツカサ

ベニゴンベ


キンメダイ

イッテンアカタチ

クラカケエビス


アカアマダイ

キチジ(キンキ)

アカムツ


 ◆ 海の一言 :『魚の「真」』


「真心」のように、「本当の、真の」、と言う意味で、魚の場合も分類上の科の中の代表的なものに「真」が付けられるケースが多いです。
●マダイ:「真鯛」⇒魚の王様の意味の「大位(タイイ)」から「タイ」になったのではないか?ともされ、濃い桜色で、体形、体色共におめでたい魚の王者として、日本産のタイ科の魚類13種の中の代表として「真の鯛」、魚を代表する王者として、「真の王様」です。
●マアジ:「真鯵」、アジ科の魚はシマアジ、ヒラアジ、カッポレ、コガネアジなど多いですが、一番多く漁獲されて馴染まれているのがマアジで、関アジ、黄金アジ、など様々なブランドとされているのも、全て「真鯵」です。
●マサバ:「真鯖」⇒最近は水温の上昇に伴いゴマサバも多く流通するようになってきましたが、味の点ではマサバが一番で、関サバ、松輪サバ・・・など様々なブランドとされているのも、全て「真鯵」です。
●マダラ:「真鱈」⇒タラの語源には、切っても身が白く「血が足らぬ」事から「たら」呼ばれた、との説もあります。タラ科の魚には、スケトウダラ、コマイなどがいますが本当のタラ、との意味で「ホンダラ」とも呼ばれ、「真の鱈」です。
●マイカ:「真烏賊」⇒標準和名はスルメイカですが、一番多く食される烏賊であるところから市場での流通名に使われます。
この他、マイワシ:「真鰯」、マハゼ:「真鯊」、マハタ:「真ハタ」、マゴチ:「真鯒」・・・などたくさんありますが意味は同じです。

マアジ

マダイ

マダラ




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