2015年8月のテーマ写真館 |
《 「鮭」・「鱒」の仲間たち 》 |
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「鮭」・「鱒」は分類上いずれも同じ、サケ目・サケ科仲間です。シロザケ、ギンザケ、ベニザケ、マスノスケ(キングサーモン)、タイセイヨウサケ、カラフトマス、ニジマス、イトウ、ヤマメ(サクラマス、ビワマス)、アマゴ(サツキマス)、イワナ、ブラウントラウト、グレーリングなど、学者の考え方により、66〜68種類に分類されています。サケ科の魚はもともと淡水魚でしたが、氷河期に餌が豊富な海に出て繁殖のために川に戻る降海型となった種がいます。餌を海に求めたものが大型化して「鮭」と呼ばれるようになった種なのです。同じ種類でも淡水中だけで生活するものが「ヤマメ」と呼ばれ、海に出て豊富な餌を食べ大型化するものが「サクラマス」、川から琵琶湖に出て豊富な餌をとり大きくなるものが「ビワマス」と呼ばれるなどもします。また降海型の「ベニザケ」の中で、海に出ず、一生を淡水中で暮らすものを「ヒメマス」と呼びます。サケ科の魚はいずれも背びれの後方に「あぶら鰭」と呼ばれ、骨が無く、肉質の小さな扇状の鰭を持っています。また、川や湖岸の砂利床に穴を掘って産卵するのが共通です。ほとんどの種類は一生に一回だけ繁殖・産卵して雄・雌共に一生を終えますが、スチールヘッド(降海型ニジマス)だけが産卵後も生き残って、再び海に戻ったあと、再度河川へ産卵に戻ってきます。「鮭」「鱒」共に海で餌をとる間、銀白色ですが、産卵期が近づくと、体色が赤やオレンジ、緑などの婚姻色に変化し、種類によっては雄の背部が張出し、鼻が鉤状に曲がるなど、体色や体型 が大きく変化します。サケ科の魚は基本的には白身魚ですが、食べる餌によりサーモンピンク色になります。アスタキサンチンという赤い色素を含んだ藻類がサケが回遊する冷たい海水中に多く、それを小型の動物プランクトンが食べ、そのプランクトンを小エビや小魚が食べ、海に下ったサケがそれらを食べるため、サケの身は赤、ピンクなどになるのです。 |
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ギンザケ(シルバーサーモン) |
マスノスケ(キングサーモン) |
ベニザケ |
カラフトマス |
シロザケ♂ブナ |
タイセイヨウサケ |
ニジマス |
カワマス(ブルックトラウト) |
ヒメマス |
アメマス(エゾイワナ) |
イトウ |
ビワマス |
ヤマメ |
ヤマトイワナ婚姻色 |
ニッコウイワナ |
ホッキョクイワナ |
ミヤベイワナ |
ゴギ |
アマゴ |
オショロコマ婚姻色 |
ブラウントラウト |
アパッチトラウト |
レイクトラウト |
アドリアティックトラウト |
カットスロートトラウト |
アークティックグレイリング |
タイガートラウト |
◆ 海の一言 :『「サケ」と「シャケ」』 |
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魚の「鮭」の正式な読みは、「サケ」だそうですが、「塩ジャケ」、「荒巻ジャケ」、「シャケ」などの言葉があります。「サケ」、「シャケ」の語源には諸説あり、アイヌ語の「シャク・イベ(夏の食)」から変化したという説が有力だそうです。また、加熱すると身が裂けるので「サケ」との説もあります。 「シャケ」は江戸時代の人が、「さ・し・す・せ・そ」をうまく発音できず、「しゃけ」と訛って発音し、それが関東で定着したとの説もあります。また、日本海側では「さ」を「しゃ」と発音するため、「シャケ」になったなどの説もあります。その他にも、生きている時は「サケ」、死んで調理・加工されたものが「しゃけ」。死んでいても調理前は「サケ」、包丁を入れて味付きのが「しゃけ」との説もあります。鮭科の魚の中で、日本でポピュラーなシロザケ「白鮭」の別名が「しゃけ」で、他の鮭の仲間は「サケ」、との説もあります。「鮭」の漢字は日本でできたもので、「サケ」の字は元来「魚へんに生」と書いたが、「生臭い魚」といのイメージがするため、「生」の字を変化させ、「すらりとした形=圭」で、「音符圭(ケイ)=三角形にとがって形が良い」、ということで、「サケ」の体型に似た「圭」を用いて「鮭魚」「桂魚」とされ、「鮭」となったと言われます。中国に「サケ」は生息しないため、外来魚のため、英語のサーモンの音に漢字を当て「三文魚」(sanwenyu)としたそうで、中国では「鮭」と書くと「河豚」と共にフグの事を意味するそうです。 |
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新巻ジャケ |
シロザケ♀ギン毛 |
サケの切身 |
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