2015年7月のテーマ写真館




 《 水族館の水槽掃除 》


水族館の職員の大切な仕事のひとつに水槽の「掃除」があります。生物に健康に生きてもらい、お客様にガラス越しの生き物たちを気持ちよく見てもらうために必要な作業です。毎朝、開館前にガラスを掃除し、水垢(みずあか)や塩の結晶、藻類の「苔」などをふきとります。お客様に生物の姿が良く見えるよう、水槽内には太陽光や、照明の光が当てられます。しかし、「苔」は光を受けて成長し、ガラス面や壁、岩などに付着するため、定期的に落とさないと、ガラスが汚れて見にくくなるばかりか、強く付着して取りにくくなってしまいます。最近の水槽はガラスではなく、石油から作るアクリルガラスが多く、想像以上にやわらかく、傷付きやすいため、傷が付かぬよう柔らかい布やスポンジなどで細心の注意を払いながら拭きます。 小さな水槽は、水槽上部から柄の付いたモップやワイパーのようなもので汚れを取りますが、大水槽ではダイバーが潜って手に持った雑巾やスポンジで拭きます。しかし、水中では浮力で体が浮くため、力が入るように、片手で吸盤を持ち、体を支えながら行います。水槽の底には、自然界と同じように生物が暮らしやすくするためや、砂の中に繁殖するバクテリアに水の汚れを浄化してもらうため、砂が敷かれています。しかし、生物は水の中にオシッコもウンチもするため、こうしたものが砂の中にたまります。また、餌の食べかすなども沈んで、ほっておくと腐って水を汚します。そこで水族館では定期的に食べかすや、フンなどを水中版掃除機で吸い取るバキューム掃除をしています。 また、水槽内の岩や、擬サンゴ(作り物のサンゴ)のコケ落としも行わないと、茶色くなってしまいます。水族館では、水槽内の掃除が大変重要な仕事になっているのです。水族館では「餌やり」や「水質管理」と共に、地味ながら「水槽掃除」が大切な仕事なのです。

バキューム掃除で底の掃除

スポンジでガラス掃除

スポンジでガラス掃除


ブラシで偽岩掃除

水槽掃除

偽サンゴの掃除


スポンジでガラス掃除

バキューム掃除で底の掃除

スポンジでガラス掃除


水槽掃除

水槽掃除

スポンジでガラス掃除


ガラス掃除

ガラスに吸い付く吸盤

掃除道具


 ◆ 海の一言 :『絶滅危機のヨウスコウカワイルカ』


長江(揚子江)の淡水に生息する固有種のイルカで揚子江河海豚です。Baiji(白●〈既の下に魚〉)、Yangtze River Dolphinなどの名で呼ばれ、平和と繁栄の象徴、「長江女神」とされています。しかし、中国の工業化、餌になる魚の乱獲、船舶のエンジンの騒音、ダム建設による閉じ込めなどの影響で激減し、三峡ダムの建設が、生息環境に対し致命的な被害を与え、2006年の大規模な調査では生息の確認ができず、絶滅の可能性も指摘されました。その後わずかな個体が確認されましたが、なお絶滅の危機に瀕しています。このまま長江の汚染などが進めば、歯クジラ類で人間が絶滅の直接要因となる初めての例となるでしょう。
濁った川に生息するため残念ながら写真は撮れていません。



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。